小型である以外に、特に目立った特徴がないのが、本機の特長であり、本機の良さである。
国産一眼レフのパイオニアである旭光学(現:HOYA(株)ペンタックス事業部)は、交換レンズやオプションアクセサリが、他社製の同等品と較べて廉価に抑えているのと、カメラ本体の小型・軽量を「売り」にしていたのだが、1972(昭和47)年にオリンパスから発売されたM−1(後にOM−1と改称)に「世界最小35ミリレンズ交換式一眼レフ」の座を奪われ、社是としていた世界最小のタイトルを奪還すべく設計・開発を進めたのが、このMXである。
メーカー発表の本体サイズは、
オリンパスM−1(OM−1)=W 136 x H 83 x D50
アサヒペンタックスMX =W 135.5 x H 82.5 x D49.5
であり、MX開発においてOM−1を意識していたのは、数値から見ても、まず間違いない。
ファインダー内でのシャッタースピードや絞り値の表示は、後発MXにありOM−1にない長所だが、機構の堅牢性や耐久性はOM−1に軍配があがり、MXは他の機種と比べて巻上げ軸等が若干弱い。
これはMX開発時の「過度のダイエットによるもの」と云われている。
軍艦部もごく普通のものだが、必要最小限のものは揃っている。
TTL露出計も内蔵するが、シャッターは機械動作式なので、万一撮影中に電池が消耗し切っても、現在のカメラのように、撮影不能になる事はない。
また必要最小限の機能しか搭載していないので、取扱説明書を読まなくとも、操作に迷う事も誤作動させる心配もないのが、本機の「強み」といえる。
「必要最小限の機能しか搭載していない」と書いたが、「撮影」という行為に絶対に必要な機能は省かれていないので、余程特殊な撮影でなければ撮影時に困るような事は、まず無い。
ただ、本体が小型であるが為に、大口径等の「大きく・重い」レンズを装着させた場合にバランスが悪くなる事があるが、サイズとバランス、重量と安定性は共に相反するもので、これはMX等カメラに限らず、小型を謳う機器に共通する不可避のデメリットである。
当時のペンタックス独自の「マジックニードル(フィルム差込口)」
フィルム装填ミスはないのだが、構造上「バラける」事もしばしば・・・。
性 能 表
メーカー | 旭光学工業 |
形 式 | 35ミリフォーカルプレン式一眼レフ |
レンズマウント | バヨネットマウント(Kマウント) |
ファインダー | ペンタプリズム固定式一眼レフファインダー |
シャッター | 機械制御左右動作式布幕フォーカルプレンシャッター |
シャッター速度 | B,1〜1/1000秒 X=1/60 |
発売年 | 1976(昭和51)年11月 |