耐久性・信頼性・操作性を一切犠牲にせず小型化に成功したM-1(OM-1)に
本体のサイズはそのままで絞り優先AEを実装され、より使いやすくなった。
O社が誇る名設計者である米谷美久氏を筆頭に、「大きく・重く・うるさい」一眼レフの欠点を解消するよう設計・開発が進められ、1972(昭和47)年7月に発売されたM−1(後にOM-1と改称)は、ユーザーのみならず他メーカーのカメラ設計にも大きな影響を与えた。
そしてM−1発表後、独・ライツ社から名称のクレーム(というより殆ど言い掛り)をつけてきた為に「OM-1」と改称し、1975(昭和50)年にワインダー・モータードライブに対応するよう改良された「OM-1MD」発売とほぼ同時に絞り優先AEを搭載した「OM-2」が発表された。
本体のサイスや外見は「そっくり」だが、露出の測光やシャッター制御の機構もM-1とは全く別物のカメラで、特に測光系が米谷氏の独創的な構造となっている。
@ 受光素子がCdSからSPDになり、フィルム面を常時測光し、シャッターが開いている状態でも、臨機応変にシャッターの制御が可能になった。これは顕微鏡写真や水中撮影等特殊な撮影条件においても威力を発揮した。
A 夜景などの長時間露光においても、露出精度は極めて正確である。OM-2nでは120秒もの長時間露光に完全対応している。
B ダイレクト測光で、純正ストロボ使用時に、超近接撮影など特殊な条件であっても、煩雑な操作や計算等を一切なしに、適正露出(調光)が可能になった。
本体サイズは小さくても、巻上レバーや操作ダイアル等は大きなものを採用している。
ダイアルもシンプル且つ大きめな表示で、設定ミス防止に役立っている。
OM-2発売から4年後の1979(昭和54)年に、改良版であるOM-2nが発売され、完成度が増した。
@ 着脱式のアクセサリシューが、標準装備となった。
A 電池切れの際に、シャッター動作がロックされるようになった。
B 露出計の対応範囲が、低輝度側が大幅に拡がった。(120秒まで対応)
C データバック用の信号接点が追加された。
スイッチ類は極めてシンプルなものだが、スイッチの向きを確認しやすいよう工夫してある。
巻戻しクランプも大型のもので、操作しやすい。
操作がシンプルなので、説明書がなくとも問題なく使用できる。
筐体は小型ながら、各操作部は大きく設計してあり、またファインダー視野率は97%で、ファインダー倍率も50ミリレンズ使用時で0.92倍と、他社製フラグシップ一眼レフカメラと較べても、トップレベルの仕様を誇る。
オリンパスのOMシリーズは、カメラ本体だけでなく、レンズや周辺機器も小型に設計されており、且つ小型化の為に耐久性や信頼性を犠牲にしていないので、撮影の際も心強いのだ。
OMシリーズの各カメラは、初代M−1から最後のOM−4Tiまで大変使いやすい優秀なカメラなのだが、シャッターがシリーズを通して「横走り式」に拘った為、最高速度が1/1000秒(OM−3・4シリーズは1/2000秒)と、高速シャッターだけは、どうしても見劣りしてしまう。
「90ミリF2マクロ」や「50ミリF2マクロ」など、「他社にはない」魅力ある明るいレンズがラインナップされていただけに、せめて最高速度が1/4000秒が使えるカメラ本体があればなぁ・・・と思うのは、決して私だけではあるまい。
性 能 表
メーカー オリンパス写真工業 形 式 35ミリ・フォーカルプレン式一眼レフ レンズマウント 専用バヨネット(OMマウント) ファインダー ペンタプリズム固定式一眼レフファインダー
スクリーン交換可、視野率97%シャッター 電子制御・左右走行式布幕フォーカルプレンシャッター シャッター速度 (Auto時)120〜1/1000秒(Manual時)B,1〜1/1000秒 X=1/60 発売年 1979(昭和54)年