1990年代後半になって、デジタルカメラなるものが出現したのだが、一般向けの製品はまだ「オモチャの延長」程度の代物でしかなく、プロが「何とか仕事で使えるデジタルカメラ」といえば、ニコンと富士写真フイルム社が共同開発した「ニコンE2(130万画素・価格110万円/1995年発売)」やキヤノンのEOS-D2000が198万円、D6000なら360万円と、とても一般人が興味本位で買えるような価格ではなかった状況のなかで、先代のD1は1999年の発売で、260万画素で65万円と、先述のデジタルカメラと較べて破格の値段設定で、デジタル一眼レフの普及に貢献した機種だった。
それからデジタル機器の性能の進化、価格の下落、製品のライフサイクルの短さゆえに、各社とも次々とデジタルカメラの新製品が登場していくのだが、D1登場から2年後の2001年、画素数はD1と同じ260万画素ながら連写秒速5コマ、連続40コマ撮影可能なD1Hが発表された。
今でこそ画素数が260万といえば、携帯電話やオモチャのカメラよりも少ない数値だが、写しだす画像の美しさは、現在発売されている1000万画素以上のコンパクトカメラにも決して負けない。
私が未だに10年前の骨董品とも云えるこのカメラを愛用し続ける理由は、記録する画像が良いのは勿論だが、RAWデータ(撮影後に設定を変更できる記録方式)の画像サイズが2〜3MBと小さく、PCでの後処理が物凄く「楽」で、同じ容量のメモリーカードをセットしても撮影可能な枚数が桁違いに多く、残容量を殆ど気にせず撮影に専念できるのだ。
また、シャッター速度の最高速は1/16000秒、ストロボの同調速度は1/500秒である「最速記録」は、現在も破られていない。オートフォーカス以前のレンズを装着しても、露出計が正しく作動するのも嬉しい。
最速1/16000秒の超高速シャッタースピード
しかも幾ら10年ものの老兵とはいえ、元々が「ニコンのひと桁機」であり、とにかく頑丈で故障知らず、バッテリもプロ仕様なので撮影枚数800や900枚位で息切れするようなヤワなバッテリではないので、撮影に連れ出す時も、そういう意味では非常に心強いのである。
高画素の受光素子を備えた新機種は、これからも発売され続けていくだろうが、オモチャではなく基本・基礎をがっちり固めた「仕事で使える」低画素機は、将来再販も新規開発もないような気がする。
性 能 表
メーカー | ニコン |
形 式 | APS-Cサイズ(DXフォーマット)フォーカルプレン式デジタル一眼レフ |
レンズマウント | 専用バヨネット(ニコンFマウント) |
ファインダー | ペンタプリズム固定式一眼レフファインダー |
シャッター | 電子制御・上下走行式フォーカルプレンシャッター |
シャッター速度 | 30s〜1/16000秒 X=1/500秒 |
発 売 年 | 2001年 |