バブル景気真っ盛りの頃に誕生した高級コンパクトカメラ
「高級コンパクトカメラ」というジャンルは、1984(昭和59)年発売のCONTAX・Tから始まり、1990(平成2)年にCONTAX・T2が定価12万円という高価ながらも、時代は丁度バブル景気の真っ最中でかなりの台数が売れたのだ。
T2の成功を知ったカメラメーカー他社が、同様の「高級コンパクトカメラ」を手掛けるようになった。ライカ「ミニルクス」、ミノルタ「TC-1」、リコー「GR1」等々。
そしてニコンでの同ジャンルの機種として発売されたのが「ニコン35Ti」で、35Tiの改良・広角版がこの28Tiである。
本機の定価は13万5千円と、かなり高額な部類に入るが、価格の分大変贅沢な造りである。
@ レンズは5群7枚構成で沈胴式。「Nikon Lens 28mm」ではなく、一眼レフ用レンズと同じく「NIKKOR」を名乗っている。
A 3D-6分割マルチパターン測光によるプログラムAE(プログラムシフト可能)/絞り優先AE 測光範囲2〜17EV 露出補正/±2EV(1/3ステップ)と、一眼レフも真っ青の露出測光精度を持つ。
B ファインダーは小さめながら、「逆ガリレオ方式採光式ブライトフレーム」と、なかなかに贅沢な光学系である。
C 絞り値、撮影枚数カウンター、露出補正値、被写体からの距離をカメラ上部で指針式のアナログ表示である。
時計の指針を連想させる35Ti・28Ti独自の表示盤。
夫々の指針の微調整も可能であるのは、ニコンならではの拘りか。
さて、肝心の「写り」であるが、レンズの描写も確かなものであるが、ニコン自慢の「3D-6分割マルチパターン測光」の精度は「ほぼ完璧」で、撮影条件が逆光であろうが、今のところ「ハズレ」は1枚もない。ただ内臓ストロボが小さい為(ガイドナンバー8、連動範囲4.4m(ISO100時))、ストロボ発光が非力であるのは仕方がない。
なお、筐体は小型であるのだが、真四角な形状で割に厚みがある為、ポケットに入りづらいのは難点であるが、私にとっては、まぁ「笑って許せる」程度の話だ。
性 能 表
メーカー | ニコン |
形 式 | レンズシャッター式コンパクトカメラ |
レンズ交換 | 不可(専用レンズ) |
ファインダー | 逆ガリレオ方式・採光式ブライトフレームファインダー |
シャッター | 電子制御式 ビハインド・レンズシャッター |
シャッター速度 | T、2〜1/500s |
発売年月 | 1994(平成6)年9月 |